現像液
概要
一般的にフィルム現像用と印画紙現像用との現像薬剤は異なります(実際は共用がまったく出来ないというわけではありません)
フィルム用としては、コダックの「D-76」が一般的です。各メーカーより、多数発売されていますが、いわゆる「標準現像液」と されているものは、ほとんど、D-76 と同等の性質と考えて 差し支えないようです。 (厳密には処方をご覧下さい。メーカーによって個性があります) はじめはD-76をマスターするのがよいと思います。
注意)T-maxフィルムには、D-76には向いていません。専用のT-maxデベロッパーを使用することをお勧めします。
印画紙現像液は、昔はコダックの「D-72」が王道でしたが、 今は各印画紙メーカーの推奨するものが多数出てますので、使いやすいものをお使い下さい。D-72は溶け難く、使用は少し難易度が高いです。専用暗室で常に大量に薬品を用意している状態であれば別ですが、個人で扱う場合は、液体の希釈タイプをお勧めします。1L程のポリ容器で売っています-‐ これを、使用時カルピス作るのと同じように、規定の希釈率(書いてあります)で薄めます。薄める水をあらかじめ温めたり、冷やしたりした上で希釈できるので温度管理が楽です。
先に現像液はフィルム用、印画紙用と違う、と書きましたが、代用は可能です。一般に印画紙用の現像液は「濃い」ですから、希釈率を上げて使用する事により、フィルム用に流用できます。希釈率については各自テストの上本番に挑んでください。(通常 1:10~1:20程度)
薬品は、保存状態によって劣化します。特に現像液は劣化しやすいので注意が必要です。特に希釈した薬品は劣化が激しくなるので、一度希釈した場合はその日のうちに使い切るようにします。
粉末タイプのものは、作業の前の晩に調合します。私はそんな几帳面な事はしませんけども。前の晩に調合したほうが良いのは、一見溶けたように見えて も、 実は細かな粒子が溶けきらずに残っている場合があるからです。 これを完全に溶かすのには 「一晩ほど置いたほうが良い」と」されています。 但し、処方の中には非常に劣化しやすいものもありますので、保存期間については十分注意してください。
一般の,ISO100、400のフィルムをごく普通に現像するのなら、 通常はD-76等の標準現像液を用いますが、飽きてきたら(笑)・・・いろいろ組み合わせて自分の好むフィルムと現像液との組み合わせを模索して下さい。
良くメーカー純正の現像液でなくては「ダメ」なのではないか?といった質問を受けます。が、一部のフィルム(T-Max等)を除けば、「ダメ」等と いう結果にはなりませんのでご安心下さい。「現像処方」のページを見ていただければ分かると思いますが、殆どのメーカーの標準処方がD-76をベースに作 られています。
現像液の種類
現像液に使われる「主薬」には、ハイドロキノン、メトール、フェニドンという3種類の薬品があり、 通常それらを組み合わせて処方されています。
- ハイドロキノンは「硬調」、現像はゆっくり進みます。
- メトールは「軟調」で、早く現像が進みますが、単独では感度が出にくいです。
- フェニドンは「軟調」で、単独では現像能力は殆どありませんが、ハイドロキノンと組み合わせる事により感度低下の少ない軟調微粒子現像をします。
- 最近ではこれらの範疇に収まらない新しい処方も、数多く発売されるようになりました。
以上の主薬の組み合わせ、処方によって大まかに次のように分類されます。
超微粒子現像液
メトール単液処方が主。主に粒状製性を重視した低感度フィルムの粒状性を損なわなず、かつ、フィルム自体は硬調な傾向にある低感度微粒子フィルムを軟調に仕上げる事を目的に処方された物をいいます。ミクロファイン、マイクロドールX、コニドールファイン、D-23等。実効感度が2~3割低下するので、撮影時それを加味してやる必要があります。また、額面どおりの感度を出そうと、現像を押す(処理時間、又は温度を上げる)と、硬調なフィルムはやっぱり硬調になります。
微粒子現像液 (標準現像液)
D-76に代表される、メトール、ハイドロキノンを組み合わせた処方(MQ現像液と言います)のものと、MQでもPQ でもない処方の、スーパーフジドールE、等の新しいタイプの現像液があります。
増感微粒子現像液
フェニドンと、ハイドロキノン組み合わせて処方された「PQ現像液」が主。感度を落とさず(言いかえれば暗部の抽出に優れ、明部とのコントラストを抑えられる)かつ、微粒子に仕上げる事を目的に処方。コニドールスーパー、スーパープロドール等。通常増感現像、又は軟調に仕上げたい場合等に使用します。
どのタイプも「微粒子微粒子」と謳っているあたりが怪しいですね(笑)
当然ですが上の3つでは下に行くほど粒子は目立つようになります。これは現像液のせい、というより撮影感度によるもの(そしてその感度を出すための処方であるがゆえ)とも言えます。それぞれの状態において、できるだけ「微粒子」に仕上げる・・というふうに解釈して下さい
この「微粒子」というのがくせもので、粒子の細かさ と、見かけのシャープさ(あくまで「見かけ」のシャープさですよ)というのは実は反比例します。
下の項でも述べますが、微粒子効果の一つに「保恒剤」によるハロゲン化銀の溶解作用があります。微粒子を謳うものほど、保恒剤の量が増える傾向となっています。逆にシャープさを第一とした処方ほど保恒剤は少なくなります。
現像液の成分について
主薬
上で述べた様、メトール、ハイドロキノン、フェニドンが主。
保恒剤
主薬の酸化防止剤。無水亜硫酸ナトリウム(亜硫酸ソーダ)Na2SO3
ハロゲン化銀を溶解する性質を持つため、微粒子タイプは多量(100g/l~125g/l 前後)加えられています。一方微粒子にするほど鮮鋭度(みかけのシャープさの事。解像度とは違います)は落ちるため、鮮鋭度重視の処方では5g~75g/l 程度となっています。
促進剤
現像液をアルカリに保つ為のもの。ホウ砂、ホウ酸、メタホウ酸ナトリウム(コダルクや、フジナボックス等)重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等を用います。
抑制剤
強いアルカリを抑制。カブリ防止。臭化カリウム(ブロムカリ)KBrが主。
その他
亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)、チオシアン化ナトリウム、チオシアン化アンモニウム(ロダンカリ)等、はハロゲン化銀を溶解する作用があり、微粒子を目的とした処方に加えられています。また、処方によっては、砂糖、食塩、安息香酸等、様様な物が添加されてます。
調合について
現像液の処方を見ればわかりますが、出来合いのD-76に適宜上記の薬品 を添付して 自分なりの現像液にすることも可能な場合もあります。ただし、出来合いの物に添加する場合、薬品によって、あるいは組み合わせにによっては、 溶け難かったりもしますので、いつ溶かすか=市販の粉末に始めに混ぜてしまってから溶かすか、 一旦溶かしてから添加するか・・ は試行錯誤が必要かもしれません。(主薬、保恒剤は始めに一緒に溶かしたほうが良いです。促進剤等のアルカリ剤や、抑制剤は溶かしてしまった後でもかまわないでしょう。総量はわずかに増えますが、化学実験ではないんです。 気にしない気にしない(笑) え?気にする?そう言う向きは、出来合いの物に混ぜたりせず、鼻から処方しようねm(_ _)m)
例えば,SD-28という処方があります。新聞社等の現像で好まれている、使用して、且つ寝かした古いD-76を新液と混ぜて使うという、鰻のタレ的(笑)な方法がありますが、 それに似た効果のある処方です。使用して疲労した現像液は、繰り返すほど徐々に現像能力 (感度)は落ちます。これを、現像時間を延長して、同じ調子としても感度低下は抑えられなくなりますが、 一方でカブリが減少し、粒状性が増していく性質を狙った処方処方です。 D-76の処方に さらにホウ砂 6g/L ホウ酸 8g/L 臭化カリ 0.4g/L を加えて水 を加えて総量1L とすれば、まさに(処方的には)SD-28となります。
また、添加(増やす)だけでなく、希釈を利用すれば、絶対量を減らす方向にも アレンジが効きます。 例えば、D-76を D:W= 2:1 で希釈した上で臭化カリを0.4g/L 加えると D-96(シャープさ重視)に 近い処方となります。(同一ではありませんよ)
ホウ酸や、臭化カリは、大型写真店に行けば容易に手に入ります。 (臭化カリは「ブロムカリ」という名前で置いてある事の方が多いです。) 他にもD-76の亜流はたくさんありますから、ぜひ、一度処方に眼を通される事をお勧めします。
処方というと、天秤はかり等が必要な面どくさいもののように思われがちですが、例えば,料理用の小匙や、太田胃散のさじ(笑・・すじきりで、1.3gです。結構使える)なんかを基準にしてしまえばそれでいいわけで、それでこそ自分の処方でしょう。 それこそ、慣れて来れば、たとえインスタントのD-76でも料理の鉄人の如く 「隠し味にひとつまみのブロムカリで料亭の味」 ってなもんで、かっちょいいかも。(でもこの程度の事で自慢するのは恥ずかしいからやめましょう・・しねーか)いずれにせよ、上記の程度の添加であれば、劇的に感度が変わったりはしませんから、試してみても面白いかもしれません。勿論テストはして下さい。ちなみに、天秤ばかりは、結構良い値段しますし、すぐ壊れますから扱いは慎重に。