カテゴリー : 5.引き伸ばし

印画紙の種類

ベース

印画紙にはまず、大きな違いがひとつあります。それは、RCベース(メーカーによっては、RP、WP、SP、等と呼ばれています)とバライタベース(メーカーによってはファイバーベース等とも呼ばれています)です。

RCペーパーは、現在の主流の、ポリエチレンでコートされた、扱いの簡単なものです。利点として「水洗時間が短い(流水攪拌2~3分)事、平面性に優れている(というか後で述べますが、フラットニング(平面にする作業)が必要ない)点があげられます。

バライタ紙というのは、昔ながらのもので、作業効率に限って言えば、これほど面倒な物はありませぬ。が、しかし、バライタ紙こそ、プリントの王道だと考えてください。いかに作業が面倒かは、おいおい出てくるでしょう(-_-;) 美術館等に収納する作品の場合は、バライタ紙で焼くのが基本です。

とっかかりはRCで十分ですが、最終的にはバライタ紙を使用できるようになるといいです。

号数

印画紙のコントラストを指します。1号が柔らかく、5号はめちゃ硬い。とはいえ大抵2号~4号しか売ってない(笑)ので、この3つから選ぶ事となるでしょう。


(上の作例はシュミレーションです。)
一方多階調印画紙というのが現在主流になりつつあります。 これは、引き伸ばし機のレンズの前面にフィルターをかける、あるいは、カラー伸ばし機のフィルターを使用することによって、1枚の印画紙で自在にコンとラストが変えられるものです。一枚の写真の中に、「軟調」な部分と、「硬調」な部分とを混在させる事が可能で、これが一番のメリットといえるかもしれません。ただ、印刷原稿なのど場合は良いですが、プリントそのものを見せるような場合、場所によって極端に号数を替えると「色味」が微妙に異なる印画紙があります。最終的に調色をするような場合、特にセレニウム調色をするとこの色味の違いが目立ってきます。本当に微妙な違いですし、逆に効果を狙えたりもしますが、全体の色味を揃えたい場合は不利かもしれません。私は気にしませんけど。


イルフォードのマルチグレード(=多階調印画紙)FB(=ファイバーベース=バライタ)

ウェイト

印画紙には 薄手、中厚手、厚手、超厚手、等の種類があります。RCペーパー等は中厚手が主流です。 高級バライタ印画紙は厚手~超厚手が主流です。安いものには昔ながらの薄手もあります。 厚けりゃ偉いか?っちゅーもんではないですが、まぁ、大抵高いもんほど厚いですな。

色調

多諧調印画紙が広まるにつれあまり重視されていないようですが、印画紙には「冷黒調」とか「温黒調」といった「黒色」の調子に違いがあります。

温黒は文字通り暖かい感じの黒。茶色、セピア寄りのものを差します。ただ、同じ温黒調と言っても赤っぽいのか茶色っぽいのか赤紫っぽいのとか色々です。同様に、青寄りだと冷黒調と呼ばれますが、これも青、青緑、青紫などメーカーによって様々です。

ただ、最終的に調色するとまた「ガラッ」と変るもの、全く変らないものなどありますし、現像時間の長短によっても異なります。

あまり詳しくない他人から見た場合、個展であれば気が付きにくい程度のものです。ただ、団体展だと差がはっきり分かります。他人の家のカラーテレビを見て「あれ、色が変」と思うようなもので、いつも同じ印画紙を使っていると気が付きにくいですが、並べるとはっきり違いが分かります。多諧調印画紙だと、柔らかい号数と硬い号数とでこの色味が異なったりします。

で、どうするか?ったって、そんなの好みですがな。好きな方にすれば良いかと思います。正解はありません。

イルフォード マルチグレードFB ウォームトーン

テクスチャー

RCペーパーの場合は各自お好みのものを使えば良いかと思います。印刷原稿としては、光沢タイプを使用するのが一般的ですが、これも最近はどうでもよくなっちゃったようですね。まぁ、基本は、印刷原稿には光沢面、展示、鑑賞用には 微粒面や、半光沢紙 を使うのが一般的です。(RCの光沢面は展示した場合会場の照明等が写り込み易く、特に展示時の平面性が悪いと、とても安っぽくなります。)

バライタ紙は殆ど光沢タイプしか売っていない(勿論微粒面などもあるにはありますけど)ので、大抵は光沢紙を使います。ここで、注意して頂きたいのは、バライタの光沢面というのは、RCペーパーの光沢面とはまるで違う、と言う事。 RCの光沢紙は、いわゆるピカピカしたやつで、ネガカラーの同時プリントでおなじみの品です。

しかし、バライタの光沢紙というのは、普通に処理して、そのまま乾燥させても、RCペーパーの如きツルピカな面ではありません。もっと、しっとりとした、落ち着きのあるものです。昔は水洗後乾かないうちに、ある工程(フェロタイプ乾燥)を行い、つるつるの鏡面仕上げをした上で印刷原稿にしていたのですが、その風習はRCペーパーの普及、印刷技術の向上と共にほぼ絶滅いたしました。

引伸ばしの工程1・試し焼き(テスト露光)

ピントを合わせる

まず伸ばし機にフィルムをセットし、画像が引伸ばしたい大きさになるよう引伸ばし機を上下させ、ピントを合わせます。

フォーカススコープを 用いて、実際に露光する絞りまで絞った上で、ピント合わせをします。絞りは5.6~11位(35mm~ブローニー)開けすぎると伸ばしボケの原因になります。

かといって、絞りすぎは、シャープさを損ないます。 ピントは画面の 各部分を 見てみてください。案外伸ばし機の片ボケを発見して沈む事もあります(笑)

最終的に、ピントは画像の中心部よりやや周辺部にずれたあたりで合わせたほうが全体のピントが深度内に収まり易く、ネガや印画紙の弛みによる伸ばしボケを最小限に抑えられます。

また、厚手以上の印画紙を使用する場合は、イーゼルに直にフォーカスをあわせると印画紙の厚みの分ピントがずれますから、一枚印画紙を無駄にしても実際にイーゼルに印画紙をセットした上で、ピントを合わせます。(良く使う印画紙をフォーカススコープ底面の大きさにカットしたものを用意しておくと良いです)

印画紙をセットする

次に、 イーゼルに印画紙をセットします。

このとき出きるだけ、印画紙の四辺に余白を持たせます。特にバライタ紙を使う場合、乾燥するとどうしても印画紙がカールします。しわが残る場合が少なくありません。少なくとも2cm以上の余自をとるようにします。余白はけちらずに:)

できれば最終的に見せたいサイズの一つ上のサイズの印画紙を使う位がベスト。 RCペーパーの場合はここまで余白は必要ありませんが、それでも水洗時四隅から水分が印画紙内に進入し、ベースがベロベロにはがれる時もありますので1センチくらいの余白はほしいところです。

試し焼き

露光時間は始めはまるきり見当もつかないでしょう。 私にも解かりません。なぜなら、印画紙、伸ばすサイズ、ネガの濃度、引き伸ばし機のパワーによって幾らでも変化するからです。とはいえ、始めは困っちゃうでしょうから、試し焼き(テスト露光) というものをします。

印画紙のはじのほうから(何でもいいので光を遮るもので)覆って、段階的に露光を与えます。 この時、始めての場合露光時間は、倍数でかけていって下さい。つまり、 2秒刻み「2・4・6・8・10」とか3秒刻み「3.6.9.12.15」というのではなく「2・4・8・15・30」、あるいは、「2・3(2.8)・4・6(5.6)・8・11・16・32」という具合にです。

特に大伸ばしになるほど、このほうが早く基準となる露光量を把握し易いかと思います。その後、適宜この刻みを細かくしていけば無駄がありません。大雑把に掴めたら、本伸ばしに入ってしまって一向に構いません。

こういった、段階露光による試し焼きを、伸ばしをするたび何度も何度もやる人がいますが、段階露光によるテスト焼きは、出来るだけ少ない回数にとどめるべきです。

なぜなら、段階をきると、撮影時の段階露光と違い、写真が細切れになります。伸ばしは全体のバランスが大事です。一部が適正であっても、全体に露光をかけてみなければ結局はどうなるかわかりませんし、結局コントラストに不満があったとして印画紙の号数を変えてしまえば、結局 露光時間が変わってしまうので、はじめからやり直しです。早めに全体像を把握した方が結果的に早く終わります。

さらに はっきし言って、試し焼きってすごく「つまらない」行為です。こんな時間は少ないに越した事はありません。実は私はこういった、段階露光による試し焼きというものはしません。いつも使う印画紙が決まってきたら、出来るだけ「ネガ」や、イーゼルに写したネガ像を見て 大体の露光時間が把握出来るように努めて下さい。

試し焼きといえど、全体に露光をかけられるように努めましょう。いつもそのように「良く見、想像」していれば、すぐ把握できるようになります。常に試し焼きに頼っているといつまでたっても覚えませんし、いずれ、引き伸ばしという行為そのものが億劫になってきます。

いずれいつも使うフィルムも決まってきます。最近のカメラは自動露出が優れていますからそうやたらと濃度の違うネガが出来ることも少なくなりました。フィルム現像のバラつきが少なくなれば伸ばしの際の露光時間もある程度は予測がつくようになります。(他人が写し、現像されたフィルムを焼くのは結構大変です)

試し焼きの実例

これは試し焼きの概念を判り易く表示するため、後処理したものです。つまり「いんちき」です。実際はこんな綺麗になったりしません。良く入門書に載っている作例等も、多かれ少なかれ、こういう操作をしています。つまり、

試し焼きの「作例」のための試し焼き・・(笑)を、作例として掲載しているわけです。

よく、10秒、12秒などと2秒くらいの刻みで作例が載ってたりします。それがグレースケールのように綺麗に並んでたりします。(↑の作例の様に)しかもご丁寧に最高濃度の秒数までで、巧く画面を割り振ってます。 これが私は昔から気に入らなかった(笑)。だって・・
既に適正露光を知っている上での試し焼き、という、非常に矛盾した行為の結果を掲載しているわけでしょう?

  • どうして10秒位って判ったんでしょうか・・(笑)
  • どうして、何秒で刻むべきか判ったんでしょうか?
  • 何故真ん中が適生露光になってるんでしょうか????

本当は適生露光になっている部分がじっこだったり、全く見当外れだったりする事(ようするに試し焼きの中に、適正露光となる部分が無い状態)もけして少なくありません。

思いっきり露光量に幅を取ってやると、こんな感じでしょうか。これでは全体像がわかりません。<本来こうした照度差の激しい被写体の場合は縦方向に試し焼きすべきなんですが、話をわかりやすくするためにこうしたまでですので念のため。

いずれにせよ、個人的には試し焼きは最小限に留め、印画紙が無駄になることを恐れず全体に露光をかけて本伸ばしとテストを兼ねるよう繰り返していくほうが、永い目で見れば結果的には無駄が少ないと考えてます。

留意点

最終的に「この秒数が適正」とアタリをつけますが、その秒数が「極端に短」かったり、「長かったり」では本伸ばしがめんどくさいです。絞りで調節して下さい。

印画紙は、乾燥させると、濃度がより濃くなります。また、セレン調色なども、より濃度を上げますので、これを頭に入れておかないと「なんか暗い……」ということもありますのでご注意下さい。暗室内の本照明も暗い場合が多いので、露光時間の把握をする時は、最終的に「展示する」場の明るさを考慮してください。

引伸ばしの工程2・本伸ばし

露光

露光時間には、決まりは特に有りません。かといって、あまりに短すぎるのは焼きこみや覆い焼きなどの作業がしにくいので、試し焼きの結果、3秒以下が適正の場合は、絞りを絞りこむなどして5秒以上になるようにします。殆どの伸ばし機の光量は、一般的に見て標準の濃度のネガなら、6切り、絞り8前後の設定で、5秒~30秒に収まるように出来ているようですし、印画紙の方もそのような感度になってます(35mmで六つ切り程度の伸ばしの場合)。ただし、号数が少ない(柔らかい)印画紙ほど感度が高く、硬い印画紙ほど感度が低くなります。勿論印画紙のサイズが大きくなればなっただけ、露光時間は増えていく事になります。

絞りを極端に開けると、大伸ばし程「伸ばしボケ」の原因になります。露光時間はけちらないように(笑)これに、下記の「焼きこみ」作業を加えますと、大伸ばしの場合1枚延ばすのに5分~10分かかるのはざらです。さらに、増感したり、露出オーバーなコントラストの高い「ネガ」を大きく伸ばすにはそれなりの覚悟が必要です。

かの「森山大道」氏は、露光を始めると、おもむろに暗室から出て、近所の喫茶店でコーヒーを飲んで 時間をつぶした、と言う話を聞いた事があります。(真偽の程は不明)かっこいいですね。私なら酒を飲んでしまい全てを台無しにしそうです(T_T)

確かに超ハイコントラストなネガを、さらに高い号数<硬い)のそれも大きな印画紙に伸ばそうとすれば、30分くらい平気でかかります。勿論、大伸ばしを想定して少し薄めのネガを作るよう心がければ、全紙で4号紙といえども、2分以内で終わるのです。カメラのシャッタースピードの「数字」を思い出してください。露出を増やそうとすれば、倍倍でかけていくことになるので、こういうことがおこるわけです。このほか露出が極端に長くなれば「相反則不軌」という現象が起こり、より長い露光を要求されます。(これは通常のフォルムでも起こります。デイライトフィルムの場合4秒あたりから露出計の指示と微妙に合わなくなってきます。カラーフィルムの場合は各色のバランスまでズレてくるので特にポジの場合は注意が必要です)

焼き込み 覆い焼き

基本的にモノクロプリントの場合、1度の露光で現像する、という事はまずしません。「焼き込み」もしくは「覆い焼き」という工程をします(別に無理強いはいたしませんが……)。露光中に引き伸ばし機の光を「手」あるいは、器具等で遮って各部の調子を整えます。器具は自分で使いやすいものを作って下さい。

これらをふまえて、表現したい個所を表現したい濃度、あるいは調子の良いプリントに焼くわけです。教科書的にいえば、「黒」から「白」までのグラデーションがきちんと出ている事が大事(あくまで教科書としては)。作画画面上最も明るい所をを「ハイエスト・ハイライト 」と呼びます。印画紙の「銀」粒子がまるで使われていない状態を指します。»コンピューター用語でいえば、「#FFFFFF」の個所のことです。
これがあまりに画面上多い部分を占めていると、非常に安っぽいプリントになります。(作風にもよりますけどね。あくまで基本として。それにこれでは銀が勿体無いですよ)
ハイエストハイライトは理想的には極一点であるのが望ましいです。例えば、人の顔なら目に当たったキャッチライトの一部、歯の光った一点 、涙の輝き(笑)等……

一番濃いところ(最も黒いところ)はしまっているか? きりっと、黒がしっかり暗黒に表現される事を「しまっている」という言い方をします。一番暗い部分は、本当に黒く表現されていますか?なんとなくグレーがかっていませんか?暗い部分を真っ黒につぶせ、という事ではありません。ネガ上に写っている、暗い部分の階調を表出させ、なおその中で暗黒が表現出来ていれば最高です。

よく「ハイ・キー」といった、表現がありますが、正しくは「明るい色で占めている面積が多い」というだけで、けして、#FFFFFFの部分はそう多くありません。むしろ、少ないのが普通です。そして、必ず画面のどこかに黒く、しまった部分があるはず。(例えばハイキー表現された女性ポートレートでも、「まつげ」や、目、髪の毛、影など、は黒くないとなんとなく締まらない絵に見えます)=リチャード・アベドンの写真等が良いお手本になります。

やはり一番良いのは、大御所の作品を、オリジナルプリントで見ること。これに尽きます。他に手はありません。プリントの大御所といえば、アンセル・アダムス。・・になるんでしょうね、やっぱ。目に入る機会も一番多いかと思われます。

ただ、プリントワークとしての手本として見ると「落ちこみ」ます。へっこみます。あまりに敷居が高すぎますね。別にアンセル・アダムスのような写真を撮れ!と言ってるのではけっしてありませんし(撮れたらそれはそれですごいです)。

ただ、プリントとはどういうものか?「本来写真の持つ(物理的な意味での)力」を勉強するには、1度ならず、何度も食い入る様に見るべきです。お金があるなら購入して毎日眺めるのがよいでしょう。(100万円くらいあればかなり良いのが買えます。安いですね(涙))

他にも、エドワード・ウェストンや、ウィン・バロック、ユージン・スミス、アベドン、ピエール・ガスマン(プリンター:カルティェ・ブレッソンや、アッジェのプリント)等もしオリジナルを見る機会が多いと思いますので、ぜひ一見する事をおすすめします。

結果として、すごいのだろうけど、俺の表現はこうではない。とか、いや、こういう伸ばしをしてこそ、オリジナルプリントだ。等と思うのは自由です。しかし、厳然としてこういった写真が存在する以上、はなから無視してしまうのは、少々稚拙な態度ではないかと
思います。また、一方で実験的、というか、既成の伸ばしの理論を覆した作品も、見るべきです。でないと片手落ちです。例えば、ウィリアム・クライン、森山大道両氏の作品、古くは、マン・レイやモホリ・ナギー等・・ これらを一見すると「俺、こっちがいいや」
と大抵の人はいいますね<笑)でも、簡単そうに見えますけど、実はこっちのほうがめっちゃめちゃむつかしいんですよ、いろんな意味で。なんせルールってもんが無いんですから。教科書どおり勉強すれば近づける世界とは違います。

どーでもいい おまけ

良く画面の周辺が黒く縁取りされている写真を見かける事があるかと思います。 どうすれば出来るのか?と聞かれますが・・・

あれは、ライツのフォコマートっつー伸ばし機で伸ばすとデフォでああなるんです。

これは、ネガキャリア(フィルムをセットする部分)の窓 の大きさが、ほとんどのものが、35mm画面とほぼ同じか、ほんの少し小さいのですが、フォコマートのそれは、画面サイズよりすこし大きいのです。したがって、ネガの余白部分(何も写っていない素通しの部分)が印画紙上に投影されるわけです。それでプリントすると、黒い縁になるわけ。

さらに余談になりますが、実際のネガ上の画面サイズというのは、同じカメラでも、撮影に使用したレンズの焦点距離によって微妙に大きさが異なります。 同じサイズに伸ばした場合、広角レンズのほうが黒縁の幅が少なく(画面サイズが大きい)望遠レンズの時は黒縁が広
く(実像画面は小さく)なります。レンジファインダーカメラに、広角レンズを付けて撮影するとその差が顕著にわかります。また、一眼レフの場合でも超望遠レンズと標準レンズとでは、標準で撮ったもののほうがネガの画面サイズが若干大きくなります。

まぁ、こういったヨクヨク考えれば当たり前の事がフォコマートを使うと私の様なあほにも気付かせてくれる・・・と。このへんがデジタルの素子が画面サイズであるデジカメと違ってアナログの良さ(?)ですかね。

引伸ばしの工程3・現像-停止-定着

処理液の温度について

温度は20度が宜しいとされています。現実的に考えれば、12度~28度の範囲の「室温」の中で作業することになるでしょうが、せめて処理温度は、18度~26度の範囲内に収まるよう努力して下さい。

真冬、真夏では、何枚か処理したら時々温度チェックをします。冷たいのは良くありません。17度を下回ると処理液の能力は限界です。特に迅速タイプではない定着液は17度以下では定着作用そのものが無くなる場合がありますので冬場はご注意下さい。

現像

現像時間は、現像液の説明書に書いてある時間ですと、大抵RCペーパーで45秒~60秒、バライタ紙で90秒(20度)とあります。が、これは、最短時間と考えてください。

基本はこの2倍。つまり、RCでは90秒、バライタなら3分です。その方が、最高濃度が増します=黒の黒さが増すと言う事です。

つまり、印画紙の持つ階調が、黒の方向に上乗せされるって感じです。私はいつもバライタで5分を基準にしてますが、だからどうと言う
ほどのものではありません。

(-_-;)気分です。

それは、アンセル・アダムスが10分入れていた、という伝説を聞いたのが、影響しています。(じゃあ10分やれよっ俺!)

現像液はけちらず、なるべく新液に!現像の時間で、濃度を調節するのは、「最終手段」と考えてください。基本は、露光ですべてを決めます。特に「早上げ(現像を規定より早く切り上げる)」は厳禁です。露光を調整して再度チャレンジしなおすこと。

現像処理の際、暗いですけど、画像の出方を良~く観察してください。覚えておくと便利です。ここは暗室の中である、と言う事を頭に入れておかないとあとで明るい場所で見たらネムネム(濃度が足りなく黒の締りの無い状態)!って事にならないよう、ある程度慣れは必要です。でも、気に入らなければ、何度でもやりなおしがきくのですから。

さて、現像時間で濃度を調節するな、と書きましたが、ちょっとだけならいいじゃん(笑)ってことで、 結構プリンターもやっている技(ってほどでもないが)をすこしばかし・・・

もうちょっとこのへんにもう少し濃度が欲しいぃぃって時

プリントを現像液から少し取りだし、その濃度を増したい処に
「はぁぁぁぁぁぁ~」って息吹の如く息を吹きかける。あるいは、手で「なでる」・・と、温度が上がって、ほんのすこぅし濃度が上がります(ような気分がするだけかもしれないけど)

又は、希釈するタイプの現像液の希釈率を抑えたもの(濃度の濃いぃぃの)を用意しておき、脱脂綿、スポンジなどで、塗る。濃すぎて、さらに現像の初期段階だと失敗する可能性高いのでお気をつけ下さい。

・・ まぁ、あんましお薦めはしまへん。
いずれにせよ、現像での修正は上のワザを含め、「現像を押す」方向にのみに有効です(勿論限度はあります)。

繰り返しますが、このままだと濃すぎそうだ⇒現像を早く切り上げるという方向に修正する事はやってはいけません。それを修正するすべは焼き直し(再露光)のみです。

停止

現像が済んだら、良く水切りをして、停止液に移しますが、一度停止液に入れたら、ニ度と現像液に戻してはいけません。フィルム現像の項で、私は酢酸による停止浴をしないと書きましたが、プリント作業には必須項目です。

仕事のやっちゃばプリントはともかく、作品として伸ばしをするのであればきちんと、30秒、攪拌して、水切りをしてから定着浴に移します。

これらはすべて「定着液を守る」ために必要な作業になります。特にバライタの場合、定着液の成分が水洗後残ると、変色の原因となったり、まぁ、やっかいなことになるので、 定着は出来るだけ「新しい液」で、「迅速に」済ますのが、良いとされています。停止浴がいい加減だと、定着液が劣化し易くなるのだ、と考えてください。 *1リットルあたり、6切り30枚位処理したら新しい処理液を作り直す事。

定着

一般的に、硬膜剤入りを使う事になるでしょうし、スーパーフジフィックス等の、 迅速タイプのほうが作業が楽でしょうから、その線で話を進めます。詳しくは薬品のページを見て下さい。定着時間は1分半~3分前後のはずです。これは各薬品の説明書の時間を厳守します。

適宜攪拌、 処理時間が終わったら、速やかに水洗に移ります。漬け過ぎは厳禁です。ハイライト部分の微妙な階調が失われます。 これは、定着液には「減力作用」(画像を構成している銀まで洗い流す作用)があるため。 まず薄いところから無くなってきます。

それから、バライタ紙の場合は、漬け過ぎると、どんどん定着液の成分が印画紙のベース内に 進入してしまい、水洗しても洗い流せず(ハイポ残留)変色や画像劣化の原因となるのでです。長期保存を目的とするならば、2浴式定着法等その手の処理方法に従います。(ここでは取り扱いきれませんので、専門書等を見てください)

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